2025/06/20 15:45


BATONS 店主の板垣です。

東北には「タケダワイナリー」というワイナリーがあります。
ナチュラルワインのワイナリーというわけではありませんが、当店にとって本当に大事なワイナリーです。
創業100年を超える地域に根ざしたワイナリー。
地域の葡萄農家さんへ健全で高品質なワイン用葡萄の栽培を伝え、ネガティブな要素を感じない本当に美味しいワインを造っています。
私個人としても「Vin de MICHINOKU」の醸造を11年お願いしている大事なパートナーでもあります。

近年、全国にたくさんのワイナリーが出来ています(10年前の2倍ほど)。しかしながら葡萄の量自体はそこまで増えていません。
ワイナリーがあってもぶどうが足りない。。。ワイン用ぶどうは日本では売り手市場な状態です。
ぶどうは栽培してから収穫まで最低3年かかると言います。(自然な畑では5年)ですので、最近のワイナリーにとってぶどうは「育てる」ではなく「集める」になっているのがリアルな現状と言えるでしょう。
タケダワイナリーさんが長年ぶどう農家さんへ、ぶどう栽培について指導をしながら購入してきた地道な努力が、購入金額の吊り上げによって他のワイナリーへの販売に代わってしまうこともあると聞きます。
良いワインを造るためにしっかりと選果をし、使えなかったぶどうについて農家さんへフィードバック。来年へ繋ぐ。
この大事な仕事がないまま、ただただ他より高い金額でブドウを集めるワイナリー。
そりゃ何も言われず全量を高く買ってくれるワイナリーの方が農家さんにとっても良い(楽な)ことなんでしょう。
ただ、そんなぶどうを集めるだけのワイナリーは、私にとって選ぶ基準にはなりません。
今後の日本のワインはどうなっていくのでしょう・・・

ぶどう栽培とワイン造りが同じ思想を持っているワイナリーとお付き合いしていきたいと心から思っています。

大好きなタケダワイナリーに「サンスフル」というシリーズがあります。
「サン = 〜しない」「スフル = 酸化防止剤」
酸化防止剤無添加のシリーズです。

昔、故 勝山新作さん(日本ナチュラルワインの父であり、私の恩人です)がタケダワイナリーの岸平典子さんと、故 クリスチャン ショサール(パタポンで有名な伝説のヴィニュロン。ペティアンの第一人者)のペティアンを飲んでいた際に、「日本でもこういうワインを造ってほしいなぁ」という勝山の一言がきっかけで生まれたワイン。

それが「サン スフル デラウエア」でした。

当時は日本で造っている微発泡ワインは私も飲んだことがなかったと記憶しています。
リリース当時は、ガス圧が強くて抜栓時に大爆発しちゃう危なっかしいワインでした。
ゆっくり時間をかけて抜栓時に20分〜30分くらいかけていた記憶もあります。

今では日本のワイナリーでもたくさんのペティアンが造られています。

でも、そのきっかけ(ルーツ)はこのワインだったのではないでしょうか。

今では、当たり前に毎年飲むことができる日常酒「サン スフル デラウエア」

このワインは日本ワインの歴史の1ページになっていることは間違いありません、

久々に描きたくなって描いたブログでした。


店主 板垣